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サブスクリプションビジネスとは?
サブスクリプションビジネスとは、利用者が定額料金を支払うことによって、商品やサービスを利用できるビジネスモデルのことです。インターネットの普及により、従来よりも初期費用がかからないため、サブスクリプションビジネスに参入する企業は増えています。近年は、動画・音楽・ソフトウェアに限らず、自動車や化粧品といった「モノ」のサブスクリプションビジネスも登場しています。
サブスクリプションビジネスが増加している背景には、「モノを所有する」のではなく「モノの使いやすさ」を重視する消費者が増えたというニーズの変化が挙げられるでしょう。
サブスクリプションビジネスの市場規模
2018年に行われた株式会社矢野経済研究所の調査によると、サブスクリプションサービスの国内の市場規模は、消費者の支払額ベースで5,627億3,600万円です。
サブスクリプションサービスは今後5年間成長すると見込まれており、2023年には8,623億5,000万円まで市場規模が拡大すると予想されています。
出典:株式会社矢野経済研究所「2019 サブスクリプション(定額)サービスの実態と展望」
そのため、これからサブスクリプションビジネスを導入しても、決して手遅れではありません。サブスクリプションサービスの市場規模が拡大傾向にあることを考えると、大きなビジネスチャンスと言えるでしょう。
サブスクリプションビジネスのメリット
では、企業がサブスクリプションビジネスに参入することで、どのようなメリットを得られるのでしょうか。サブスクリプションビジネスのメリットは、下記の3つが挙げられます。
- 継続して安定的な売上を試算できる
サブスクリプションビジネスは、商品やサービスに対して利用者が定額料金を継続的に支払います。利用者が解約しない限り、契約期間中の支払いは継続されるため、安定した売上を試算しやすくなります。 - 消費者のデータから商品・サービスを改善できる
サブスクリプションビジネスを使用する利用者の反応・動向を分析することで、商品・サービスの問題点を改善することができます。基本的に利用者はサブスクリプションビジネスを継続的に契約するため、利用状況を細部に至るまでチェックできます。 - 新規顧客の増加が期待できる
サブスクリプションビジネスは定額制のため、従来の売り切り型と比べると、利用者は費用を安く感じる傾向にあります。手が届きやすい費用設定となっていることから、サブスクリプションビジネスを気軽に使う利用者は多く、新規顧客の増加が期待できます。
サブスクリプションビジネスの成功事例
ここからは、サブスクリプションビジネスに参入して成功した事例を3つ紹介します。
【エンタメ業界】
テレビ番組や映画、アニメが見放題となる動画配信サービスを提供し、人気となっている企業は数多く存在します。パソコンやタブレットだけでなく、スマホでも気軽に視聴できる点が、好評を博している理由です。
【家電業界】
企業が実際に販売している家電を、レンタルという形で利用できます。高額な家電でも安価な定額料金で試すことができ、レンタルして気に入った家電を購入する利用者もいます。
【アパレル業界】
サブスクリプション型で新品・新作の洋服を貸し出している企業もあります。返却期間が決まっておらず、「毎日違う洋服を着たい」という女性利用者のニーズに応えたサービスとなっています。
サブスクリプションビジネスの専門用語
サブスクリプションビジネスでは、さまざまな専門用語が使用されます。
サブスクリプションビジネスに参入する前に、専門用語の意味を知っておきましょう。
専門用語 | 意味 |
---|---|
MRR | 月間経常収益のこと。 利用者数に比例して、MRRの数値が増加・減少する。MRRから、サブスクリプションビジネスによる利益や成長率を確認できる。 |
ARR | 年間経常収益のこと。 1年間の収益を指すため、MRRの数値を12倍することで算出できる。 |
ChurnRate | 解約率のこと。 毎月のChurnRateを分析することで、利用者数の動向予測につながる。 「月間の解約者数÷月初の利用者数」で算出できる。 |
LTV | 1人の利用者が契約期間中にもたらす利益のこと(顧客生涯価値)。 LTVが高いほど、利用者が長期にわたりサブスクリプションビジネスを利用していることとなる。LTVは「売上÷解約率」で算出できる。 |
CAC | 顧客獲得費用のこと。 1人の利用者を獲得するにあたり、いくら費やしたのかを測る。 CACの分析により、戦略や予算の見直し、改善点の発見につながる。 |
サブスクリプションビジネスの導入を成功させるポイント
サブスクリプションビジネスは数多くのメリットがある魅力的なビジネスモデルですが、サービスの提供開始すぐには利益を得られない点に注意が必要です。さらに、利用者が解約しないように、新鮮な企画を常に取り入れなければなりません。
では、サブスクリプションビジネスで成功を収めるためには、何をすべきなのでしょうか。
ここからは、サブスクリプションビジネスの導入を成功へ導くポイントを解説します。
サブスクリプションに適した商材を選ぶ
利用者が継続的かつ頻繁に使う商品やサービスでなければ、サブスクリプションビジネスは成立しません。たとえば、1年に一度しか使わない商材の場合、利用者はサブスクリプションサービスではなく、レンタルサービスを選びます。わざわざ定額料金を支払ってまで、その商材を使いたいとは思わないためです。
また、本来であれば高価な商品・サービスを、サブスクリプションサービスで安価な料金で提供すると、ブランドイメージを損ねてしまう恐れがあります。
サブスクリプションビジネスで提供する商材は「利用者がよく使うもの」「ブランドイメージが落ちないもの」を選びましょう。
目先の利益にとらわれず、顧客満足を第一に考えた高品質なサービスを提供することが大切です。
顧客満足度を高める体制を作る
サブスクリプションビジネスを成功させるためには、サービスの継続率アップが欠かせません。しかし、サービスの継続率は顧客満足度に左右されます。そのため、顧客満足度を高める「カスタマーサクセス」を導入する企業が増えています。
カスタマーサクセスとは、サービス契約後も能動的な姿勢で利用者にアプローチする取り組みのことです。
カスタマーサクセスの取り組みの例
- 利用者にサービスを使用した感想をヒアリングする
- 利用者の声をサービスの開発者にフィードバックする
- 利用者のニーズをサービスに反映する
カスタマーサクセスを通して顧客満足度の向上を図ることで、解約率の低下へつなげることが可能です。
サブスクリプションビジネスを導入する際は、カスタマーサクセスの設置も併せて検討しましょう。
まとめ
サブスクリプションビジネスは急成長を遂げているビジネスモデルであり、今後も市場規模は拡大すると予想されています。
さまざまなメリットがあるサブスクリプションビジネスですが、参入してすぐに利益が出るわけではありません。サブスクリプションビジネスで成功するためには、いくつかのポイントを押さえることが大切です。
サブスクリプションビジネスへの参入を検討している方は、当記事をぜひ参考にしてください。