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成果報酬型アフィリエイトがフェイク広告蔓延の要因に
現状のフェイク広告は、いわば「騙したもの勝ち」の状態です。フェイク広告は、費用対効果(ROAS)が高く、同じ手間でも成果が上がりやすいので悪質な広告出稿者が後を立たないのです。
フェイク広告の費用対効果(ROAS)が高い理由は、成果報酬型アフィリエイトの仕組みにあります。
成果報酬型アフィリエイトとは、広告経由での商品購入があった場合に、広告主D2C(ネット通販)会社等、商品やサービスを提供する側の会社)が広告掲載メディア(法人・個人運営は問わない)に対して、売上金額や申込件数に応じて報酬を支払う仕組みのことです。
「成果=売上・申込」があるほど報酬額が上がる案件もあり、優秀な広告掲載メディアに対しては特別報酬単価が設定されるケースも少なくありません。
1つの売上に対する報酬が他のメディアよりも上がるケースも多く、高額報酬を目指す一部の悪質な広告掲載メディアはなりふり構わず、広告掲載をしている現状があるのです。
さらに、あらかじめ広告費を大きく先払いしてもらう広告掲載メディアもあります。そういった運営をしているメディアは、報酬が得られない場合は事業が成り立たくなるため、どんな手段を使ってでも成果をあげる必要があるのです。
フェイク広告の温床!記事型広告とは
なかでも、フェイク広告の温床として問題視されているのが、記事型広告と呼ばれるタイプのアフィリエイト広告です。
記事型広告とは、ニュースサイトやキュレーションメディアの下部に、そのメディア内の関連記事のような形で掲載されている広告のことです。
一見すると今まで読んでいた記事と関連のありそうな内容に見えますし、体裁も記事のようになっています。
しかし、その実態は商品やサービスを購入させるための広告です。記事型広告内に設置されたバナーをクリックすると、商品購入ページに遷移する仕組みです。
記事型広告の多くは、体験談風の記事になっており、その販売手法は1960年代に流行したバイブル商法に似ています。体験談風の記事型広告を実質的な広告とし、関連法令の隙間をくぐり抜けて販売しているのです。
関連記事:D2C(ネット通販)の特定商取引法とは?【法令を遵守して健全なショップ運営】
フェイク広告を締め出す流れはどうなっているのか
フェイク広告は、消費者を誤認させ商品を購入させており、詐欺に近いです。
実際には商品を使っておらず、効果も実感していないにもかかわらず書かれた口コミや、薬機法や景表法に違反する表現を使用したコピー、無許可で使われている芸能人画像など、とても正当な広告とはいえません。
このようなフェイク広告については、各メディアも問題視しており、フェイク広告を締め出し、メディアの健全性を保とうと対策しています。
Yahoo!のフェイク広告対策
Yahoo!では、広告主の掲載URLと同一ドメイン配下にない記事型広告の出稿を禁止しています。
インターネット上の住所であるドメインを元に規制する事で、成果報酬目当ての第三者による広告を排除できます。
Googleのフェイク広告対策
Googleは、広告主とは関係ない第三者が提供するデータのクッキーの利用を今後廃止することを発表しています。
クッキーは、ユーザーがどのサイトを訪れたかなどがわかるデータです。ユーザーの閲覧データを元に配信されるリターゲティング広告はこのデータを元に配信されており、クッキーの利用が廃止されることで、広告主以外の第三者がこういった広告を配信することが難しくなります。
Facebookのフェイク広告対策
Facebookでは、配信前の全ての広告に掲載前審査が義務付けられています。
また、広告からの遷移先については、AIと目視確認併用しています。
フェイク広告の完全な締め出しは不可能
各メディアがフェイク広告の締め出しに乗り出していますが、完全な締め出しは不可能です。
フェイク広告は、一部の悪質な広告代理店や広告運用会社、アフィリエイターが法律を無視する状態で勝手に配信しています。
すべての広告について広告主がチェックを入れるのは不可能に近く、掲載箇所の全体像を把握するのさえ困難な現状があります。
フェイク広告掲載の場になっているメディア側でも、メディア運営者が掲載されている広告を把握するのは難しく、掲載されている広告がフェイク広告であったことが判明してから対応するメディアも少なくないのです。
広告枠を購入しての純広告への回帰が進む理由
現在は、悪質なフェイク広告が蔓延していますが、これからは広告枠を購入して広告を掲載する純広告への回帰が進むと考えられます。
というのも、フェイク広告によって売上が上がったとしても、消費者を騙すような形で獲得した顧客の引上率は低水準にとどまり、商品のブランドイメージも落ちてしまいます。
フェイク広告の出稿を見逃すのは、リスクが大きいのです。
純広告であれば、クリック先は広告主のサイトです。直接遷移するので、広告主が預かり知らないフェイク広告が関与する隙を与えません。
また、サイトの訪問履歴に関係なく広告が掲載されるため、Googleが「今後規制する」としているクッキーの利用規制の影響も受けません。
自社ブランドのイメージを保ちながら、広告掲載を継続し、安定した売上をあげるための純広告回帰は今後止められない流れになるでしょう。
消費者庁もアフィリエイト広告の大規模な調査へ
2020年12月に、消費者庁がネット広告アフィリエイトの大規模調査に乗り出すというニュースが流れました。
今まで野放し状態だったフェイク広告の対策に活かす目的で、大規模な調査を行うものです。
これにより、広告主だけが対象である虚偽・誇大広告が判明した場合の景表法の罰則などに影響が出る可能性もあります。
オフラインの世界で一時流行したバイブル商法が長続きしなかったように、インターネット版バイブル商法ともいえるフェイク広告も長続きはしないでしょう。
まとめ:フェイク広告を締め出しフェアで本質的なビジネスへ
フェイク広告は、その費用対効果(ROAS)の良さからネット広告上の広告表示に蔓延していますが、掲載メディア、広告主、政府も対策に乗り出しています。
オフライン上で流行した詐欺まがいの商売が締め出されていくように、いずれはフェイク広告もネット上から締め出される日が来るでしょう。
すでに、広告枠を購入しての純広告への回帰も見られます。
フェアで本質的なビジネスで売上を立てる施策を続け、フェイク広告に対する規制が厳しくなったとしても煽りを受けないようにしましょう。