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テンション・リダクション効果は無意識に購入ハードルが下がる現象
テンション・リダクションとは、緊張から解放された反動で注意力が散漫になり、一時的に無防備になってしまう心理状態を示す言葉です。
この気持ちが緩み判断力が低下している状況やタイミングを、営業活動やマーケティングにうまく活用することを、テンション・リダクション効果といいます。
「緊張から解放された状態」というと、災害時のような特殊な状況を思い浮かべる人もいるかもしれませんが、日常で発生する緊張でもテンションリダクションは発動します。
テンション・リダクション状態にあると意識が無防備になるため、普段なら拒否することも受け入れやすくなります。
たとえば普段の買い物より少し高い買い物や、いつもならしない買い物をしたときもテンション・リダクションが現れるのです。
悩みに悩んで購入した顧客は店員の勧めで追い買いする可能性が高い
あなたも、いつもとは違うブランド品やはじめて使う化粧品、高級時計などを購入したときに、このような経験をしたことはありませんか。
1.「この商品が良さそう」と思う
2.購入するべきかどうか類似商品と比較する
3.買い物に失敗した場合のリスクなどが許容範囲内か考える
4.最初に見た商品の購入を決意する
5.店頭で商品を購入する
6.決済時に関連商品をおすすめされ、ついでに買ってしまう
商品を購入するときは、「いつもより背伸びした買い物だし」「この商品だけが目当てだし」と思っていたはずなのに、関連商品をおすすめされるとなぜか「こっちもあると便利かもしれない」と買ってしまう。
これがテンション・リダクション効果の結果です。
この場合、「この商品を購入すべきか」「購入して後悔しないか」と熟考を重ねているときが緊張している状態です。「購入する」と決め、決済することで緊張状態から解放されます。その結果、注意力が散漫になり、外部からの圧力や勧誘に無防備になってしまうのです。
「その商品を買っている方は、こちらの商品もお買い上げいただくことが多いんですよ」といった店員のセールストークに簡単に乗ってしまうのはこのためです。
関連商品であるほどテンション・リダクション効果が高い
テンションリダクション効果は、購入した商品とおすすめする商品の関連性が高いほど効果も上がります。
たとえば、
・ナイトブラ+バストアップサプリ
・育毛剤+育毛サプリ
・オールインワンジェル+洗顔パフ
のようなイメージです。
Amazonや楽天市場で商品を購入すると「こちらもおすすめ」と商品が表示されます。これもテンション・リダクション効果を狙ったものですが、今買った商品と同じ機能の別メーカー商品のこともあり、参考になりません。
テンションリダクション効果を狙うなら、その商品を購入した顧客の助けになりそうなものを紹介したほうが効果が高くなるのです。
テンション・リダクション効果を利用してアップセルを狙う
D2C(ネット通販)でテンション・リダクション効果を活用すれば、アップセル・クロスセル率をあげることが可能です。
具体的には、この3つのポイントでテンションリダクション効果を活用しましょう。
・申込確認画面
・専用フォローメール+専用ランディングページ
・申込完了画面
申込確認画面でアップセルを入れる
申込確認画面では、アップセルを入れます。
たとえば、
・無料モニターから本商品の定期コース(サブスク)へのアップセル
・商品Aのみの購入から商品Aと商品Bを購入させるアップセル(クロスセル)
・本商品の都度購入から本商品の定期コース(サブスク)へのアップセル
を入れましょう。
これを行うことで、それぞれ
・無料モニターから定期コース(サブスク):アップセル率(=引上率)が7%から24%にアップ
・商品Aのみから商品A+商品Bの購入:アップセル率(=クロスセル率)が22%から61%にアップ
・都度購入から定期コース(サブスク):アップセル率(=引上率)が40%から83%にアップ
した実績があります。
関連記事:D2C(ネット通販)でアップセル率を劇的に上げる「最適なタイミング」とは?
専用フォローメールと専用ランディングページで引上率・クロスセル率をあげる
新規顧客のフォローメールは、顧客のステージに合わせた専用のフォローメールとランディングページを用意することで、引上率・クロスセル率が上がります。
つまり、
・広告から入ってきた顧客が遷移するのは広告専用ランディングページ
・顧客の引上げのためのフォローメールは、引上専用フォローメールと引上専用フォローランディングページ
・定期コース(サブスク)の顧客のクロスセル率をあげるなら、クロスセル専用フォローメールとクロスセル専用のランディングページ
を用意し、適切なタイミングで配信するのです。
関連記事:D2C(ネット通販)の「クロスセル」とは?有効な施策から成功事例まで徹底解説
フォローメールを配信する適切なタイミングとは
フォローメールを配信する適切なタイミングとは、顧客の消費サイクルに合わせたタイミングのことです。このタイミングを狙い打つことで引上率・クロスセル率が最大2.7倍アップした実績があります。
たとえば1週間のモニターセット申込顧客に、引上専用フォローメールを送る場合は
・モニターセットを使い切る前:先着〇〇名様への特典情報として
・モニターセットを使い切るタイミングから5日後:残り〇〇名の特典情報として
・モニターセットを使い切るタイミングから10日後:最後の告知の特典情報として
が、最適なタイミングです。
これらを配信する時間帯は、顧客が初回モニターセットを申込んだ時間帯がベストでしょう。
初回モニターセットを申込んだ時間帯は、顧客がスマホやパソコンを時間的な余裕を持って開いている時間帯であり、日常的にスマホやパソコンを触っている時間帯です。この時間帯にフォローメールを配信することで、メールの開封率を上げ、特典情報を最後まで読んでもらうことができます。
関連記事:フォローメールの効果的なタイミングとは?【適切に配信して引上率・クロスセル率アップ】
申込完了画面に「おまとめコース」への変更ボタンを入れる
申込完了画面では「3ヶ月おまとめコース」への変更ボタンを入れ、LTVをあげます。
「申込完了画面は支払いが完了している段階なのにテンション・リダクション効果を狙えるの?」と感じた方もいらっしゃると思いますが、狙えます。
具体的には、
1.「お申込みありがとうございました」「商品の発送まで〜〜」の案内画面を画面に表示
2.「ページ下部にさらにお得な情報があります」と申込完了画面を閉じるのを阻止
3.ページ下部に「さらにお得になる3ヶ月間おまとめコース」への変更ボタンと案内を表示
のようにしましょう。
3ヶ月おまとめコースに変更してもらうことで、顧客がお金を支払うタイミングが減ります。毎月払いの場合は支払うタイミングは1年間に12回ありますが、3ヶ月おまとめコースになると1年間に4回です。
お金を支払うタイミングは、顧客が「解約」を考えるタイミングでもあります。それが減るということは、解約を考えるタイミングが減るということです。
ですから、おまとめコースに変更するだけで、LTVが上がるのです。
まとめ:テンション・リダクション効果をうまく利用してLTVを高めよう
テンション・リダクション効果をうまく利用すれば、申込画面、申込完了画面、フォローメールなど、さまざまなシーンを活用して引上率・クロスセル率を上げることができます。
本商品と関連の深いものであるほど、テンション・リダクション効果が上がるので、顧客の立場になって「関連の深いもの」「必要なもの」「あると嬉しいもの」をおすすめしましょう。
新規顧客を固定客にし、固定客を徹底的にクロスセルさせるためにも有効活用しましょう。